こころの法話集061
お話061
四つに分かれる仏縁
金沢市・瑞泉寺住職 杉谷齊
遇法のよろこび
佛法にご縁をもつ人を大別すると、おおよそ次の四つに分けられると思います。第一は純粋に学問的に究明したいと思っている人。第二は佛法で世の中を良くしたいと思っている人。第三は自らの生のよる所として佛法に学びたいと思っている人。第四は立場上知っておくべきことと思っている人。
今この四者を少し角度を変えて比べてみますと、第一の人と第四の人は「佛法を学ぶ」という形でかかわりを持ち、知識として見る点で同類であり、深浅広狭の違いがあるだけと言えると思います。
また、第二と第三の人は知識としてではなく「佛法に学ぶ」という点では同類と言えますが、第一と第四が程度の差であるのに対し、質的に多きな差があるように思います。つまり前者は自己と社会を別々に考え、自らが学んだ佛法で世に貢献しようと思うのに対し、後者は自己と社会を切り離さず、一体と見て佛法を手段にはしないという点が、違うように思われます。
佛法にかかわりのある人は随分多いと思いますが、割合から申しますと、第四の人が最も多く、続いて第二、第三、第一となるのではないかと思います。第一と第四とを別に考えますと、せっかく佛法に学ぶからには、せめて佛法にご縁をいただいてよかったという遇法のよろこびが持てなければ、単なるアクセサリーのようなもので、佛法に学んだかいがないと言ってよいのではないでしょうか。