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こころの法話集162

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お話162

貴い機縁がなかだち

東京・大東文化大教授 五十嵐明宝

妙好人シリーズ④

赤尾の道宗をとりあげたいと思います。赤尾の道宗は蓮如上人によって、真の仏弟子に育てられた人であります。終生、それに感謝して、たとえ蓮如上人が「近江の湖を一人で埋めよと仰せられても、かしこまりましたといって従うでありましょう」と、絶対帰依のすがたを示したのでありました。
しかし、彼の場合も、そこにまで至るのには貴い機縁がなかだちになっておりました。道宗は武士の子として生まれ、幼名を弥七郎といいますが、四歳で母を失い、十三歳で父とも死別したのです。
その彼が、筑紫の羅漢寺に行くと、石の五百羅漢がおり、そこで父や母に似た羅漢さまに会えるだろう、という話を聞いて、筑紫を指して旅に出たのはそれから数年後のことでした。

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ところが途中、越前の麻生津という所で夢を見て、夢にあらわれた僧から「亡き父母に似た羅漢に会ったとて、しょせんは別れねばならない。今、京都に蓮如上人という偉い僧がいて、真実の親に会って再び別れることのない教えを説いている。そこに行ったらよかろう」と諭されました。道宗はその言葉に導かれて蓮如上人の所に行き、三日三晩、座も立たずに熱心に聴聞したといいます。

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