こころの法話集238
お話238
余計な怒りやめよう
清水町島寺・浄福寺住職 藤井信哲
米ソ対立、日米貿易摩擦などのほか、世界では鉄砲で人々が殺しあう内乱や、戦争が絶えないことは悲しいことです。身近のところでは親子兄弟、夫婦、隣人が相争っています。余計なむさぼりにより奪いあうことや憎しみで心に怒りを生じるからですが、お釈迦さまは三毒の煩悩のうち瞋恚(しんい=いかり)をお戒めになっています。
「世間の人は互いに敬愛しあい憎みねたむようなことがあってはならない。人々はその行いにより苦楽の境界に生まれていく。その責任は自分自身が負わなければならず、だれもこれに代わってくれるものはいない。善い行いでは幸せなところに生まれ、悪い行いでは災いのところに生まれる。厳然とした業の道理にもとづいて、ただ定められたところに一人いくばかりである。それなのになぜ人々は力を尽くして善行を励み、浄土往生の行を願わないのであろうか。もしそうすれば永遠の生命が得られるであろうのに、人々はなぜ道を求めないのだろうか」(無量寿経)
多かれ少なかれ凡夫の私は時々心に怒りを覚えます。「いうまいと思えど今日の暑さかな」の俳句があります。ムダとわかっていても腹をたてますが、医学的にみても胃かいよう、心臓病の原因となり、卒中で死を招くときがあります。
自分の業はそれだけの報いを受けます。そのことも知らず本能のままに行動する人が多いことを、仏さまは悲しんでおいでです。