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こころの法話集352

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法話352

因縁

福井市松本三丁目・興宗寺住職・聖徳幼稚園長 北條紘文

こんにちは、いかがですか。もう四年近く前のことですが、私が結婚してから半年目のことです。恐縮な話ですが、ある時、お便所へ行くと、かなり大量の出血があったのです。痔(じ)でもなさそうです。私は前々から腸には自信がなかったので、とうとう来るべきものが来た、と思いました。
妻や父母のことを思うと、どうしてもお便所から出ることができません。そのうち妻が探しに来て事態を知り、父母ともあす病院へ行くことに話し合って、その夜は二人で泣きながら眠りました。翌朝、涙ながらに朝の勤行をして、妻と二人で病院にまいりました。幸い、大したことはなくて、入院もせずに今も元気でおりますが、私はこのとき、夫婦の因縁ということをつくつくと感じました。
私たちは晩婚で、見合いをしてから半年程でゴールインしたわけですが、特別愛情の深い夫婦というわけではありません。しかし、たまたま私と一緒になったばっかりに苦楽を共にしてゆかねばなりません。結婚半年目で、もしやという目に遭いながら、少しも後悔の思いではなく、彼女と一体である私の身を、私たちの行く末を案じて泣いてくれました。理屈を超えていたのです。そう私には思えました。私は、そういう夫婦の因縁というものに打たれる思いでした。
しかし、私は、それでもあまり妻に優しくしてやることができません。妻も、我を張って私を困らせることもあります。人間の夫婦とはこんなものかもしれません。しかし、私たちが、お念仏に出あわせていただくことの尊い宿縁は、どれほど感謝してもし足るものではありません。み仏の私たちをおもうて下さる心は、理屈を超えているのですね。私はそう思います。

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