こころの法話集075
お話075
人々とともに歩む道
福井西別院輪番 土基謙教
お盆にちなんで㊦
阿弥陀如来の本願は、一切の衆生が平等にすくわれていくことを明らかにして下さったものであり、その本願が働いて下さるのは、いま現実の苦悩多き人生を歩む私に向かってであります。
生きとし生けるものすべてを、ひとしくすくいとげるという、阿弥陀如来のお心は、そのまま、そのすべてが私に至り届いて下さるのであります。このことをさして「信心」といわれるのであります。
日の善しあしを選んで、私さえ都合よく行けば、それでよいとしていた私に、生きとし生けるものすべてとともに歩む道を開いて下さるのが阿弥陀如来の本願でありましょう。
善導大師のお作り下さいました「礼讃」というお経には、「願くば諸(もろもろ)の衆生と共に」という言葉が、非常にたくさん出てきます。
阿弥陀さまによって、信心の人とならせていただいた私の歩む道が、「数多くの人びとと共に」歩む道であり、私一人さえ都合よく行けばよいとしていたこの私が、如来の本願によって、「多くの人びとと共に」生きる私につくりかえられていく様が明らかにされています。
きのうまで他人であった者同士が、気づかされてみれば、みんな、阿弥陀さまのお慈悲の中にはぐくまれ、阿弥陀さまの智慧(ちえ)によって、苦悩の人生を力強く生きぬいていこうとしている者同士であったのです。
苦しみからにげることなく、力強く生き抜いて下さい。これこそが私たちの先にお浄土へかえって下さった先祖の願いでありましょう。