こころの法話集179
お話179
いたわりの心が大切
坂井町御油田・演仙寺前住職 多田淳政
相手の立場
幼い子供は、思いがけないいたずらをすることがありますね。驚いて、思わずしかりつけますが、よくよく聞いてみると、実はお母さんのお手伝をしようと思ってやったことがわかって、しからねばよかったなーと後悔することがよくあります。
私たち人間は、自分の立場でのみ考えたり、判断したりして、自分の気に入れば喜び、気に入らないと相手を憎んだり、悪人扱いにしてしまます。しかし、よく考えてみると、相手も私と同じように人間です。精いっぱい良い人になろうと努力しているはずです。
こういう相手の立場に立つこと、老人は若い者の立場に立ち、若い者は老人の立場に立ち、夫は妻の立場に立ち、妻は夫の立場に立って、お互いに相手の心をくむことが大切ではないでしょうか。仏教では、自分のことしか考えないで、自分だけが得をしようとする
心が、煩悩のもとであり、一番の罪悪であると言われています。
仏さまはいつもこの私の立場に立って下され、この私のために悲しんで下され、そして限りないお慈悲の心を注いでいて下さるのです。このお慈悲の中に生かされている私であると気づかされたら、私たちもまたお互いにいたわり合いたいものです。
聖徳太子は「共にこれ凡夫のみ」と言われ、親鸞聖人は、御同朋御同行と言われて、四海皆兄弟の心を表されています。相手の立場に立ってお互いにいたわり合うことが出来たら、世の中はどんなに明るくなり、また私自身もどんなに幸せになることでありましょう。