こころの法話集322
法話322
いのちの言葉
大野市伏石・常興寺住職 巌教也
あるお寺の掲示板で、私はこんな言葉に出あいました。それは、
「ナムアミダ仏は 字数にしてわずか六字 となえることはやさしいが となえる気になることの 難しいことよ」と。
新約聖書のマタイ伝第四章に、皆さまご存じの、有名な言葉がございます。それは「人はパンのみにては生きるにはあらず」と書かれてあります。でも、もっと私たちにとって大事なことは、この言葉につづく「神の口より出ずる一つ一つの言葉によって生きるものなり」というところにあると思います。
文芸評論家の亀井勝一郎氏は、
「世に最も美しい言葉は 相手をいたわる言葉だ」といわれましたが、ナムアミダ仏の六字の言葉こそ、仏さまの、真実の心のまこと、そして言葉のまことであり、そのまま私たちへの呼びかけ働きかけて下さる、まことの仏さまの願いそのものでございました。

限りある命のこの私が、限りない命と光の仏さみの呼び声に、目を覚まさせていただかない限り、このナムアミダ仏に包まれている身でありながら、気のつかないままに一生をむなしく過ごしたであろうことよといただいた時、この私の口からこぽれ出て下さる、何ものにもさえぎられることのない、ナムアミダ仏の、感動の命の言葉でございました。