こころの法話集324
法話324
「縁」の心を大切に(固いきずなの親子、夫婦)
大野市伏石・常興寺住職 巌教也
二人三脚
あるお寺の掲示板で、私はこんな言葉に出あいました。それは…
『親子をつなぐ糸 夫婦をつなぐ糸ほど 強いものはないというが 引っぱり合うとすぐ切れてしまう』と。
家庭内暴力とか、蒸発とかいった言葉が、いつのまにか定着してしまった、近ごろの世の中です。
親子も夫婦も、運動会の綱引き競争ではないのであって、やっぱり二人三脚のマラソンであった方が、どんなにかあたたかい心を感ずるのではないでしょうか。それこそ不思議な縁でむすばれた親子であり夫婦なのでありますから。
昔は三分間人と会話すると、きまって日常語にとけこんだ仏教の言葉が出て来たものですが、近ごろは、英語の方にグーンと差をつけられたようです。

でも仏教の言葉が、私たち日本人の生活に最後まで残るものは、きっと「縁談」という言葉だと思います。「ご縁のことですから」とか「良縁にめぐまれまして」とか、そこに目に見えない縁(えにし)の糸の、不思議なつながりをしみじみと思う時、この「縁」という仏教の言葉の意味を、もっと私たちは、かみしめて味わわなければならないと思います。