こころの法話集198
お話198
きれいな仏の心に
清水町島寺・浄福寺住職 藤井信哲
真実あらわす合掌
「ヤレ打つな蝿が手をする足をする」という一茶の俳句があります。蝿(はえ)が合掌をしているから打たないで命を助けようということです。合掌はインドの敬礼法の一種であり、仏教が日本に伝えられたときから、柏手(かしわで)、合掌が神化拝礼法となりました。
右の手と左の手が一つになった形は和の象徴です。インド人は右手を清浄、左手を不浄として使いわけますが、両手を合体することで人間の心のなかの浄、不浄をこえて真実があらわれます。きたない自分の心をきれいな仏の心に一致させることでもあります。
神社参拝の柏手は合掌とは違い、霊振り(たまふり)のことで、ポンポンと手を打つことによって空気を振動させ、その力で神を呼び寄せるためのものです。
浄土真宗の合掌は両手を合わせて胸の中央にかるくつけ、指をそろえて約四五度上方に伸ばし、念珠をかけて合掌したまま、上体を約四五度傾けてお礼をし、上体を起こしてから合掌をときます。合掌には両指両掌を正しく合わせるもので堅実心合掌といわれるものです。
悪人凡夫が両手合わせて念仏することはなかなかできないことで、合掌念仏するようになった私を喜ばねばなりません。