こころの法話集049
お話049
一度仏さまの診断を
福井市田原二丁目・法円寺住職 細江乗爾
考えることのどんづまり
「考える」という事は、私たち人間に与えられた特別の能力だと言われています。なるほどそう言われると、そうかもしれません。馬や牛、犬や猫も全然考えないのではないでしょうが、どうも人間以外の動物は自分を守るために、自然に備わった力として「考える」に近い事をやっているようです。
そうは申しましても、私たち人間もあまりいばってばかりはおれません。私たちも小さい時は、動物と同じように、頼りないものだったのです。よく、小さい時「自分の事は自分でやりなさい」と言われましたが、なかなかうまくいきません。初めのうちはつらくとも、泣き泣きでもやっていくうちに、自然に自信がついてきて、学校へ上がる時分には、人さまを当てにしなくとも、どうにか考えながら自分のする事を決めたり、こうしようという考えも備わってくるようです。
しかし、人生は長いものです。困ることや、悲しいことや、多くの上がり下がりの波に出会います。幼い時、やっと身につけた自信や、やり遂げたいと思う「考え方」に水を差されるような事も多く起こります。自分一人で、いくら力んでみたって、どうにもならない事もあると知らされます。そんな多くの障害を味わった結果、こんなことを思います。「人生って何だ」。
さて、私たち人間に与えられた、この「考える」ということは、考え、考え、考え抜いたあげく、どうしても行き詰まるということもあるのです。体の健康診断はお医者で出来ます。しかし、心の健康診断はどうしたら良いのでしょうか。
こんな言葉がございます。「如来は大医王なり」。仏さまは、私たちの私自身にも分からない心の病気を、立派に直して下さる名医なのだと言われます。一度診断していただきましょう。