こころの法話集378
法話378
時を大切に
東京・本願寺布教使 友国善量
仏教では、時間というものを、いろいろな意味で、たいへん大切に考えています。たとえば、人間の持つ苦しみの中に行苦というものがございまして、経典やお聖経のところどころにみえておりますが、それは、迷いの心で生きるものは、流れてやまぬ時間の重大さに気づかず、大切なものを失って必ず後悔するぞというお言葉です。
たとえば、中国の善導大師様は、時間は、光のように移り流れて、たちまち五却(ごこう)のはじみにいたってしまうとなげいていらっしゃるのでした。私どもも、あらためて、このことに、心せねばなりません。今日ただいまの時間を、私が大切に生きるか、不用意に生きるかで、実に天と地をへだてるほどの相違を生ずるものだそうでございます。
仏法のお言葉によりますと、きょうという時間は、私が私の生涯で、一番重大な意味をもつ出来事に合う日ですから、実にありがたく、うれしい時間であると、おっしやっています。なぜならば、きょうは、私が無限の時間を生きる命と出会う日であるからだというのです。
きょうをいかに生きるかで、明るい力あふれるあすをつくる方法を、仏様は懇切に私たちにおしめし下さいました。聞法こそ、私たちの今という時間を、一番大切に生きることなのです。時間を、大切に生きましょう。