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こころの法話集430

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法話430

食物に人々の苦労(ありがたくいただこう)

福井市松本三丁目・興宗寺住職 北條紘文

感謝

四年前に、お寺の一部を改築していただいた時のことです。鉄筋コンクリート二階の屋根は、アスファルト防水という工法で、雨漏りをしないように工事をしていただいたのであります。
真夏の暑い暑い日、屋上で、アスファルトを火で溶かし、手ばけで丁寧に塗り上げてゆくのです。五十歳と二十歳ぐらいの親子の工事屋さんでした。道路工事でよくアスファルトを塗っていますが、あの時でも、熱気と臭気とで、私たち通行人は傍らを通る時足を速めます。それを、いずかりながら手ばけで塗ってゆくのです。真夏のカンカン照りの日、何十坪という面積でした。
大変だろうなあ。ありがたいなあ、もったいないなあと、私は正直思いました。こうしたご苦労によってはじめて建物が出来上がり、漏らない屋根ができることを思うと、その方たちをも建物をも拝みたい気持ちでした。これはほんの一つの例にすぎないでしょう。私たちの生活が、こうした多くの方々のご苦労によって支えられているのだと、頂くことができましょう。
石川県山中町恩栄寺の日下大痴和上は、戦後しばらくして亡くなられたお西の勧学さんでありますが、夕食の前にはいつも手を合わせて十分程、長い時は三十分程も念仏してからはしをとられたということであります。
今から口に入れようとするものに、どれ程多くの方々のご苦労がしみ込んでいるであろうか、自分がこうしておいしく項ける身のありがたさ、否、食物自体が尊い生命、天地の恵みと思うとき、なかなかおいそれと箸をお取りになることができなかったのであろうと、いただけるのであります。

挿絵

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