こころの法話集202
お話202
床の間、仏壇の名残
清水町島寺・浄福寺住職 藤井信哲
仏さまの次が上座
床の間がある座敷では床の間の前が上座ですが、なぜ上座なのでしょうか。あなたがそこへ座ったとすると、あなたは、その部屋では仏さまの次に偉い人-つまり、その部屋にいる人の中でいちばん偉い人ということなのです。
もっとも仏さまと罪深い凡夫の人間では、オリンピックの一位、二位の立ち台とは違って隔たりが大きすぎるので、腰が落ち着かないと感じるなら、あなたは善人の方だと思います。床の間は昔の仏壇だったのです。壇は一段高い所をいいます。
仏像を安置した壇が仏壇で、箱になっているのは厨子型です。床の間に花や掛け軸、香炉が置かれているのは、仏壇の名残です。違い棚はお経や仏具を載せたところです。訪問したとき、床の間の前に座って掛け軸拝見のあと、あいさつするのは仏さまを礼拝した名残です。
仏壇はなぜ必要なのでしょうか。自分の家には亡くなった人がいないから仏壇は不要という考え方がありますが、仏壇は心のよりどころであり、仏壇がない家庭は中心のない生活というべきです。仏前で座って合掌し、如来の大悲を仰げば、自らの姿を知らされ、心が明るく開けてまいります。