こころの法話集009
お話009
広い視野をもつこと
福井市田原二丁目・法円寺住職 細江乗爾
釈尊の目
ものにこだわらない、「とらわれない」ということは、ありのままにものが見えるということです。「如実知見(にょじつちけん)」という言葉があります。ありのまま、物を見ることを、仏教では重くみます。「ありのままのこと」を「ありのままに見る」、その能力が「法」であり、「知恵(ちえ)」です。
「仏法に不思議なし」と申しますが、「柳は緑、花は紅」で、そう見えることが大切であり、仏教なのです。物事は先入観を持って見ますと、柳が紅に映ったりするわけでしょう。
道元禅師の「眼横鼻直」という言葉、目は横にあり鼻は真っすぐにあるというありのままの姿を認めることなのであり、その事が分かるということが大切なのです。「とらわれ」があると、限られたものしか目に入りません。「とらわれ」を捨て、限られた見方を離
れて物を見ていく。そこに「ありのままの世界」が現れてくるのでしょう。