こころの法話集013
お話013
煩悩の中に自己発見
福井市田原二丁目・法円寺住職 細江乗爾
掘り出す尊さ
私たちは自分自身の持っている宝物を大切にしなければなりません。その宝物は「仏性」というものです。ところが、この「仏性」というもの、腹立ちやら、愚痴やらの煩悩によって覆われているんです。宝を持ちながら、気付かないでです。
しかし、それを発見すること、それを発見出来た時、それは自覚であり、煩悩の中に埋もれている自己を発見することでしょう。
仏性の自己と、煩悩の自己を思い出すこと。同時にそれは「仏性」が煩悩に埋もれた自己の姿を見せてくれるということなのです。
光がやみを知らせてくれるように、「仏性」が煩悩の自己から抜け出すことを助けてくれるのです。これを「解脱(げだつ)」といいます。自己を縛るものを離れて自由になることです。「自縄自縛(じじょうじばく)」という言葉がありますが、自分の煩悩で自己が縛られているわけです。その縄を解き放つのが「解脱」であり、仏教の救いなのであります。仏教の救いは「他者」、外からの救いではなく、自己による、自分による救いなのです。自分に光を与えることによって、生まれてくる救いなのです。