こころの法話集015
お話015
法により自ら整えよ
福井市田原二丁目・法円寺住職 細江乗爾
頼るもの、それは?
お釈迦さまの最後の教えとして、「自らを灯明とし、自らをよりどころとせよ」とあります。
この教えは、大変重要な教えなのであります。「自らをよりどころとせよ」と言われますが、ここで注意しなければならない事は、「頼りになるのは自分だけ」という考え方と一緒ではない、ということです。
世間で言うのは、人を信用できず、自分の力だけを頼ろうとする、狭く、弧独な、悲壮な生き方を指していると思います。これは「兄弟は他人のはじまり、友人も口先だけ。いざという時には逃げてしまう」というような虚無感が基礎となっているようです。
仏教の「自らをよりどころとせよ」というのは、これと全く違うものなのです。「自己によれ」とは「よく整えられた自己」によれ、と教えられるのです。何によって整えられるべきか。それは法によって整えよと言われるのです。ここに「自ら」と「法」との切っても切れない関係が生まれてくるのです。
「自灯明・法灯明」「自らを灯明とし、法を灯明とせよ」「自帰依、法帰依」「自らに帰依し、法に帰依せよ」この二つの釈尊の教えを味わうべきでしょう。