こころの法話集034
お話034
人生の知恵と慈悲に
小浜市遠敷・西光寺住職 吉田俊宣
仏さまってなに?②
仏さまをこの世界の絶対者、私たちの人生を左右する支配者であると考えておられる方も、また多いと思います。私たちを幸せにしたり、悪いことをするとバチを当てたりする方が、仏さまなんだという考え方ですね。確かにそう考える方が、自分に責任がないから気楽かもしれません。
仏さまとは、私の人生に正しい目を与えて下さる方」なんです。私たちはどうしても自分の都合(自己中心)で生きています。調子のよい時は私が、私がが先に立って、おかげさまを見失い、逆に調子が悪くなるとおろおろして、ほかのせいにしてごまかそうとしてしまいます。
私の人生に正しい目を与えて下さるとは、縁起の世界に目が覚まされることであります。真実(法=ダルマ)に目覚めてブッタ(仏陀)となられた釈尊は、この世のあらゆる存在は、どんな大きなものもどんな小さなものもすべてが、因(直接原因)と縁(間接原因=条件)が相より相まって生起しているのである、と悟られました。
調子のよい時にこそ、おかげさまと頭が下がると同時に、社会に目を開いて生きているであろうか、自分だけの幸せに酔ってはいないかと自分に問いかけ、逆境の時にも自分を見失わず、精いっぱいの努力を忘れない生き方がおのずと与えられる。
この正しい目こそ、この人生を生きる本当の力になるのです。そのまことの知恵と慈悲のはたらきを仏さまというのであります。
念仏は祈りではない。
私の人生を本当に生きる
力を与えてくれる
まことの声である。