こころの法話集051
お話051
物が豊富でも心は?
福井市田原二丁目・法円寺住職 細江乗爾
足るか足らないか?
今年の梅雨は、割合しのぎやすい、良い梅雨でございました。しかし、東北では温度が足らず、不作だと、テレビで報じていたようです。日照が足らないだとか、世の中ままならないものでございます。
足る足らないという言葉は、よく使われる言葉でございます。お金が足らない、物が足らない、親切心が足りないなどと申します。近ごろ、お金は足りているようですが、それでも、足りているとはなかなか表には出したくないのが、人の気持ちのようです。
しかし、水の足らないということは農村にとって、大変なことなので問題になります。ところが、これまた多く過ぎても問題で、あちこちで被害があり、苦労いたします。水は適当にあれば一番良いでしょうが、そううまくいかないのが悲しいことです。
アフリカでは、人口の三分の一が飢えと乾きのため倒れたとございます。私たちは、この自然の尊い恵みへの感謝を忘れてしまっているのではないでしょうか。
ところで、足る足らないは水の場合は問題になりますが、お金の場合は多過ぎて困るという話は聞いたことがありません。考えて見ると、お金は、努力次第で足りるようになりますが、遊んでおって努力しないで、足らない、足らないというのは駄目だということでしょう。
しかし、欲の心はきりがないので、いつも足らない、足らないとこぼす人が多いので、はないでしょうか。これは、お金が足らないのではなくって、心が足りないとも言えましょう。ここで手を合わせてみてはどうでしょう。何かが足りないかもしれません。