こころの法話集159
お話159
恩を知り、徳に報いる
東京・大東文化大教授 五十嵐明宝
妙好人シリーズ①
大和の国の妙好人・清九郎について述べてみたいと思います。清九郎がアミダ如来の世界に導かれたのは、やはり深い因縁がありました。彼は毎日、山に入り、樵夫(きこり)の業をしていましたが、ある時、ウグイスが彼の身に近寄ってきて離れなかったので、不思議に思っているとウグイスは「法を聞け」とさえずる鳥で、蓮如上人という方が病気の折に賞翫(がん)されたという話を聞き、仏法を聞くようになったといいます。そんな折、彼は最愛の女房を病気で亡くしますが、清九郎は狂乱の人のように嘆き悲しみ、世間の人は愚かな人よとあきれるほどであったといいます。しかし、そのことが彼を強く大慈悲の中に導いていったのです。
こうして清九郎は他力安心の中に住むようになりましたが、次第に恩を知り、徳に報いる心にも豊かに恵まれていきます。
ある時は、年老いた母親を背負って大和から京都の本山までの二十里の道を往復したこともあり、またある時は本山やゆかりの寺院に多くの金品を上納したこともありましたが、これらは親に対する深い感謝や、仏恩や師恩に対する限りない報恩の気持ちを示しているのです。清九郎はまことに如来の恩徳の中に生きていた人といえましょう。
ある時は、年老いた母親を背負って大和から京都の本山までの二十里の道を往復したこともあり、またある時は本山やゆかりの寺院に多くの金品を上納したこともありましたが、これらは親に対する深い感謝や、仏恩や師恩に対する限りない報恩の気持ちを示しているのです。清九郎はまことに如来の恩徳の中に生きていた人といえましょう。