こころの法話集170
お話170
正しくものを見る目
大野市状石・常興寺住職 巌教也
大きな帽子
あるお寺の聞法会で、私はこんなお話を聞きました。
「あるとき大学生に、裁判所の中で、だれが一番大きい帽子をかぶっているかと尋ねてみたら、大学生はしばらく考えたあとで、それは裁判長だと答えました。次に同じことを小学生に尋ねてみたら、すかさず一番頭の大きい人と答えました。もちろんこの答えが正しいのであって、一番大きい帽子は一番大きい頭とだけに、必然的に関係があるからです…」

なまじっか、自分のもっている知識や物さしで、ひとひねりして考えるから、ひょんな答えが出るのかもしれません。そして素直な小学生の答えにほほえましさを感じます。
これは単なる頭の体操の問題ではありません。おシャカさまは私たち人間に、広く深い仏教の道理を説いてくださいましたが、その第一番は「正見」、正しくものを見るという、実践的な教えでありました。