こころの法話集171
お話171
人間の心の状態表現
大野市状石・常興寺住職 巌教也
「迷い」という字
あるお寺の掲示板で、私はこんな言葉に出会いました。
「仏滅の日に結婚式をあげました。友引の日に父の葬式も出しました。三りんぼうの日に転宅もしました。しかし私は幸せ、幸せ」

さわやかな人間の生き方を教えてくれる言葉ではないでしょうか。あまりにも迷うことの多い、私たちの人生であります。その迷いという字は四方・八方どちらに行ったらよいのか分からないという私たち人間の心の状態を表現した字であると聞いています。どうか迷いの字を、じっとごらんください。
そんな迷いを迷いと知ったことが、実は仏さまのおっしゃるさとりなのであって、迷いをそのままにしておいて、そこから逃げ出そうとするために、日の良い悪いや、方角がどうのこうのというような無責任な人間の欲ボケから、いろんな神さんや仏さんを、追い回しているのではないでしょうか。
神さんも仏さんも、きっと迷惑されていることと思います。