こころの法話集177
お話177
喜びの人生が開ける
坂井町御油田・演仙寺前住職 多田淳政
お呼びかけ
何の用事がなくても、子供たちはいつも「お母さん、お母さん」と呼びかけますね。これは、実はお母さんの方から呼びかけているからでしょうね。たとえ、声で呼びかけなくても、心ではいつも呼びかけていて下さるのです。
親の呼びかけには、親の願いがこもっています。「すこやかに育っておくれよ。すなおな良い子になっでおくれよ」という親の強い願いであります。この親の呼びかけが聞こえ、親の願いが届くからこそ、子供の方からも「お母さん、お母さん」と呼びかけて、母を慕い、すべてを任せて、安心した日々を送ることができるのですね。
仏さまのお呼びかけは「南無阿弥陀仏」のお念仏です。「罪深く、悩み多いお前たちよ。この親が引き受けたぞ。任せておくれ」のお呼びかけであり、お願いであります。「我となえ 我きくなれどこれはこれ つれてゆくぞの親の呼び声」という和上さんの歌がありますね。
この仏さまのお呼びかけが聞こえたとき、私たちもまた「ありがとうございます。おまかせいたしますしと仏さまに呼びかけるのです。これがまたお念仏ですね。
お念仏の生活とは、親の呼び声を聞いて、大安心の気持ちで、強く明るく生き抜くことであり、そこにこそ、本当に充実した喜びの人生が開けてゆくことでありましょう。