こころの法話集215
お話215
ただ念仏だけが真実
小浜市遠敷・西光寺 吉田俊逸
人生すべて無常なり
仏教思想の特徴として三法印がありますが、諸行無常を第一に示しています。諸行無常とは「万物は常に変転して、やむことなく、つくられたものは移り変わってゆく」ということです。私たちの生活はどうでしょうか、この反対の考えで人間生活を送っていないでしょうか。
財産も地位も名誉もすべて私一代は大丈夫と思っていることが間違いです。親鸞聖人は「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」と示された言葉があります。すなわち明日も知れないのが現実であり、一日一日が移り変わる無常の中に生活しているのです。
私たちは白骨の御文章をもって、無常とは死と直結していませんか。それこそ大きな誤りです。死にいたるまでの無常の人生、そして愛し合った人に別れて後に残って暮らさねばならぬのも無常です。親子関係、兄弟姉妹の関係もすべて無常という宿縁の中に生活していることを忘れてはなりません。
親鸞聖人は「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろずのこと、みなもって、そらごとたわごとまことあることなし、ただ念仏のみぞまことにておわします」と示されています。本当にもったいないご指示です。人生すべて無常の中にあるのです。