こころの法話集227
お話227
しっかりとお念仏を
清水町島寺・浄福寺住職 藤井信哲
「信なくもつとめてみ名を称うべし。み名より開く信心の花」の古歌がありますが、以前に比べ、お寺の参詣(けい)者でもお念仏の声が少なくなっているようです。ただ黙って座っている方が多いのです。これは多分「信心をもって本とせられ候」の御文章のお言葉や「正定之因唯信心」と正信偈(げ)に出ているし、「ただ信心が往生の根本」であるという意味のことが本にも書かれるなど、ご信心が強調されています。
「この上の名称はご恩報謝と存じ」とお領解文にもありますので、ご信心いただいた者だけがお念仏するのだとお考えになる方もあります。そうしたことから、お念仏の声が少なくなったような感じもいたします。
しかし、「念仏成仏、これ真宗」と親鸞聖人のお言葉もあり、「念仏の衆生を摂取して捨てない」と御和讃にもあります。ともかくもお念仏していただかねばなりません。よくお同行で「ご院さん、しっかりせんと、みんなあかんようになってまうで」という人があります。
「精いっぱいやっているで。それであんたはよくお聴聞にお参りしておいでかのう」と聞きますと、「うらは忙して参られん」「そうか、あんたもしっかりせえ」お互いお念仏しましょう。