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こころの法話集254

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お話254

「香は信心の使い」

清水町島寺・浄福寺住職 藤井信哲

抹香(まっこう)臭いという言葉がありますが、お寺関係のことをいうようです。お坊さんの衣にも香がしみこんでいる感じです。
仏壇には香炉があります。法事やお葬式のときには参けい者は焼香します。
これらにはどんな意味があるのでしょうか。仏教創始の古代印度は暑く、体臭を消す意味から香を用いました。焼香は自己の心身を清浄にするものです。また仏前供養の意味があります。「賛華焼香して廻向する」(無量寿経)とあります。仏は香をお好みであり、法蔵菩薩四十八願のうち、第三十二願に「極楽世界は百千の妙香でつくり、十方に薫(くん)じわたらせる(宝香合成の願)」とお誓いです。

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お寺の仏前や在家仏壇には金香炉、土香炉の二種類があって、上段は供養のため、下段は自己の心身の清浄のために焼香するものといわれます。
香のにおいでお浄土を思い、仏恩に報いるための助縁とするとか、空中に消えていく香煙に自分の無常をさとるの味わい方もあります。
香煙絶えないありさまは六度の行のうち精進(しょうじん=努力)を表し、六根供養(眼、耳、鼻、舌、身、意の六つの心身の器官の供養)としては仏の御鼻供養で、これらは信心相続のすがたです。
古代印度の須達長者が香を燃やしてお釈迦さまの教えを仰いだ故事から「香は信心の使い」ともいわれます。

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