こころの法話集349
法話349
大地の力
敦賀市元町・浄蓮寺住職 龍渓玄真
記録破りの大雪でしたが、いつのまにか庭の草木も緑を濃くし、花をつけています。つくづく、大地の力の不思議さ、ありがたさを思いました。雪の下に埋もれた実や、草木の根を養いつづけて、芽ばえさせ、新しい命をもたせたのは、大地の力です。
経典には、仏さまの徳の一つとして「猶し大地の如し。浄穢好悪(じょうえこうあく)異心なきが故に」とたたえられてあります。「浄(きよ)らかなものも、穢(きたな)いものも、分けへだてなく載せるから」というのです。
私が今までこの世に生きてこれたのは、今は亡き父母はもとより、あらゆる人々のお力によらねばならなかったのです。人の力だけではありません。衣食住などすべての物のおかげや、私の出会ったさまざまな出来事が、皆今の私を育ててくれたのです。それら一切が大地となって私を養い育ててくれました。
そして、とうとうお念仏するご縁にあうことが出来たのです。私があいたいと思ってあったのではありません。み仏さまが、あらゆる人を通し、あらゆる出来事をご縁として、私の所に来て下さったのです。親鸞聖人は「たまたま行信をえば、遠く宿縁をよろこべ」と仰せられました。
今はただ、お念仏申すばかりであります。「み仏は、したいまつりてみ名よべば、つつみていますわがいのち」「み仏は、ひとりなげきてみ名よべば、えみてぞいますわがむねに」